1. はじめに
データベースにおける数値型の選択は意外と重要
MySQLは、世界中で広く利用されているオープンソースのデータベース管理システムです。WebアプリケーションのバックエンドやWordPressのようなCMSの基盤として活用されており、開発者にとっては欠かせない存在です。
その中で「数値データをどの型で保存するか」は、パフォーマンスや精度に直接影響を与える非常に重要な判断です。整数型(INT、BIGINTなど)に加えて、小数を扱う場面では浮動小数点型(FLOATやDOUBLE)、固定小数点型(DECIMAL)などの選択肢があります。
この記事では、その中でも特に「FLOAT型」にフォーカスを当てて解説していきます。
MySQLのFLOAT型とは何か?
「mysql float」と検索してたどり着いた方の多くは、次のような疑問を抱いているのではないでしょうか?
- FLOAT型とはどのような型なのか?
- FLOAT型とDOUBLE型、DECIMAL型との違いは?
- 精度の問題はあるのか?
- 金額や重さ、割合のようなデータに使っても大丈夫?
このような疑問に答えるべく、この記事ではFLOAT型の基本から応用、注意点、他の型との比較、そして実用的なアドバイスまでを詳しく紹介します。
実務で悩まないための知識を
FLOAT型の性質を誤解したまま使用すると、思わぬデータの不整合や計算誤差を引き起こすことがあります。逆に、その特性を正しく理解していれば、MySQLで効率よくデータを処理する手段として非常に有効です。
「mysql float」というキーワードで調べているあなたが、この記事を読み終えるころには、FLOAT型を適切に活用する力を身につけられることを目指して執筆しています。ぜひ最後までご覧ください。
2. FLOAT型とは?
MySQLにおけるFLOAT型の基本
MySQLにおけるFLOAT
型とは、浮動小数点数(Floating Point Number)を格納するためのデータ型です。これは、小数を含む数値を扱う場面で使用され、近似的な数値表現を提供します。
浮動小数点という名前の通り、数値の小数点位置が固定されておらず、「大きな数値から非常に小さな数値まで柔軟に表現できる」のが特徴です。科学計算やセンサー値など、多少の誤差が許容されるケースでは有効な型です。
CREATE TABLE sample (
value FLOAT
);
上記のように定義すれば、そのカラムには浮動小数点数を格納することが可能になります。
FLOAT型のサイズと精度
FLOAT型は、単精度(single precision)の浮動小数点型です。おおよそ7桁程度の有効桁数が保証されており、それ以上の桁数は内部的に丸められる可能性があります。
この仕様は、IEEE 754という標準に基づいており、精密な金額や統計値の計算には不向きですが、大量のデータを高速かつ省メモリで処理する用途では重宝されます。
FLOAT型の構文と使用方法
MySQLでは、FLOAT(M,D)
という形式で定義することができます。このときのM
とD
には以下の意味があります:
M
:全体の桁数(整数部 + 小数部)D
:小数部の桁数
たとえば、以下のように定義することができます:
CREATE TABLE prices (
price FLOAT(7,4)
);
この場合、price
列には最大7桁の数値を格納でき、そのうち4桁が小数点以下に割り当てられます。つまり、有効範囲は -99999.99
~ 99999.99
です。
注意点: FLOAT(M,D)
を指定しても、内部では浮動小数点演算が行われるため、必ずしも厳密な桁数の保証はされないことに注意してください。小数点以下の表示桁数の“目安”程度と考えると良いでしょう。
3. FLOAT型の精度と範囲
有効桁数と誤差の関係
MySQLのFLOAT
型は、IEEE 754に基づいた単精度浮動小数点数として実装されています。これは、約7桁の有効桁数(significant digits)が保証されることを意味します。つまり、7桁を超える数値は丸められる可能性があるということです。
たとえば、以下のような値を格納する場合:
INSERT INTO sample (value) VALUES (1234567.89);
この数値は一見して問題ないように見えますが、FLOAT型の精度制限により、格納後にわずかに異なる数値になる可能性があります。これは丸め誤差と呼ばれ、浮動小数点型特有の性質です。
実際の例:誤差の発生
次のような比較を考えてみましょう。
SELECT value = 0.1 FROM sample WHERE id = 1;
ここで、value
列に0.1
をINSERTしていたとしても、この比較がTRUE
にならないことがあります。なぜなら、0.1
という値はコンピュータ上で正確に2進数で表現できないため、FLOAT型に格納された時点で若干のズレが生じるからです。
このような誤差が積み重なると、集計結果や条件分岐に影響を及ぼすことがあります。
FLOAT型の表現可能な数値範囲
FLOAT型の数値範囲は、非常に広くなっています。MySQLの公式ドキュメントによれば、おおよそ ±1.17549 × 10^(-38) 〜 ±3.40282 × 10^(38) の範囲をカバーします。
これは通常のWebアプリケーションやセンサー値の記録などでは十分な範囲ですが、精度が必要な金融系のアプリケーションでは注意が必要です。
範囲よりも「精度」にこそ注意すべき
FLOAT型を使用する際に最も注意すべきは、数値の範囲の広さではなく、精度の限界です。大きな値や小さな値を扱えることよりも、「正確に一致させられない」ことによる不具合の方が実務では深刻です。
したがって、数値の大小だけを見てFLOAT型を選択するのではなく、その値に対して“どれだけの誤差が許容されるか”を基準にするべきです。
4. FLOAT型の構文と使用方法
基本的な定義方法
MySQLにおいて、FLOAT
型のカラムを定義する最も基本的な方法は以下の通りです。
CREATE TABLE products (
weight FLOAT
);
この例では、weight
という列に浮動小数点数を格納できるようになります。数値の精度や桁数の指定が不要な場合、これだけで問題ありません。
FLOAT(M,D) の意味と使い方
より詳細な定義が必要な場合は、FLOAT(M,D)
という形式を使用します。
- M は全体の桁数(整数部 + 小数部)
- D は小数部の桁数
たとえば、以下のように定義することができます:
CREATE TABLE prices (
price FLOAT(7,4)
);
この場合、price
列には最大7桁の数値を格納でき、そのうち4桁が小数点以下に割り当てられます。つまり、有効範囲は -99999.99
~ 99999.99
です。
注意点: FLOAT(M,D)
を指定しても、内部では浮動小数点演算が行われるため、必ずしも厳密な桁数の保証はされないことに注意してください。小数点以下の表示桁数の“目安”程度と考えると良いでしょう。
UNSIGNED(符号なし)の指定
FLOAT型には、UNSIGNED
修飾子を付けることが可能です。これにより、マイナスの値を除外し、0以上の数値のみを格納できるようになります。
CREATE TABLE ratings (
score FLOAT UNSIGNED
);
このようにすると、score
列には負の数を格納できなくなり、データの整合性を保つのに役立ちます。
ZEROFILL(ゼロ埋め)の使用
ZEROFILL
を指定すると、数値の表示において桁数が足りない場合に0で埋めて表示されます。M
(桁数)と組み合わせて使用することが前提です。
CREATE TABLE inventory (
amount FLOAT(5,2) ZEROFILL
);
上記の設定では、3.5
を格納すると 003.50
のように表示されます。ただし、表示上の見た目が変わるだけで、実際の値が変わるわけではありません。
FLOAT型の値をINSERT・SELECTする例
INSERT INTO products (weight) VALUES (12.345);
SELECT weight FROM products;
このようにして格納された値は、SELECT時にそのまま表示されます。ただし、前述したように若干の誤差が表示される可能性があることを覚えておきましょう。
5. FLOAT型のメリットとデメリット
FLOAT型のメリット
MySQLにおいてFLOAT型を使用することには、いくつかの実用的な利点があります。
1. ストレージの効率性が高い
FLOAT型は4バイトで格納されるため、大量の小数を保存する必要があるデータベースにおいては、ストレージを節約することができます。たとえばセンサーデータや統計的な記録など、大量かつ高頻度のデータを扱う場面で効果を発揮します。
2. 処理速度が速い
浮動小数点演算は、多くのCPUでハードウェアレベルの最適化がされており、演算速度が非常に速いです。これは、処理性能が重要なリアルタイムシステムや分析処理にとって大きなメリットになります。
3. 非常に大きな値・小さな値を表現できる
FLOAT型は指数部を持つため、非常に広い数値範囲を表現可能です。±10の38乗程度まで扱えるため、天文学的な値や極小数値でも対応できます。
FLOAT型のデメリット
一方で、FLOAT型には無視できない欠点も存在します。特に“精度が求められる用途”では慎重な判断が必要です。
1. 精度が不正確になることがある
FLOAT型は近似値として格納されるため、値が正確に保存されない場合があります。たとえば 0.1
や 0.01
のような一見簡単な値でも、内部的には2進数に変換される際にわずかな誤差が生じることがあります。
この微小な誤差が、比較演算や条件式でバグの原因になることも少なくありません。そのため、用途に応じて他の数値型との使い分けが重要になります(この点は後述)。
2. 比較演算に注意が必要
たとえば次のようなSQL文は、意図通りに動作しないことがあります。
SELECT * FROM prices WHERE amount = 0.1;
FLOAT型で格納された0.1
は、実際には0.10000000149011612
のように微妙にズレている可能性があるため、=
による一致が得られないことがあります。これが原因で予期せぬデータが抽出できないといった問題に繋がります。
3. 精密さが要求される場面には不向き
金融、会計、税金、請求処理などでは、1円、1セントの誤差も許されないケースがあります。こうした場合には、DECIMAL型などの固定小数点型の使用が推奨されます。
6. FLOAT型と他の数値型との比較
数値型の選択は“精度と用途”で決まる
MySQLでは、FLOAT以外にも数値を扱うためのデータ型として、DOUBLE
や DECIMAL
が用意されています。いずれも小数を扱うことができますが、目的や精度、パフォーマンスによって選択肢が大きく変わってきます。
この章では、FLOAT型と他の代表的な数値型との違いを、具体的な視点から比較していきます。
FLOAT型 vs DOUBLE型
項目 | FLOAT型 | DOUBLE型 |
---|---|---|
精度 | 約7桁(単精度) | 約15〜16桁(倍精度) |
ストレージサイズ | 4バイト | 8バイト |
処理速度 | 速い(軽量) | やや遅い(精度優先) |
用途 | おおよその数値、精度が厳密でない場合 | 高精度が必要な科学計算など |
DOUBLE型は、FLOAT型の上位互換と考えることもできます。より高い精度を確保しつつ、広範囲な数値の表現が可能です。
たとえば天文学的な計算や、金融以外の精密な数値処理に向いています。ただし、ストレージとパフォーマンスのコストが上がるため、用途に応じて適切に使い分ける必要があります。

FLOAT型 vs DECIMAL型
項目 | FLOAT型 | DECIMAL型 |
---|---|---|
精度 | 近似値(誤差あり) | 正確な固定小数点 |
ストレージサイズ | 4バイト(可変) | DやMにより変動(やや大きい) |
主な用途 | 近似でよいデータ | 金額・請求・税金・精密な統計 |
誤差の発生 | 発生する(浮動小数点誤差) | 発生しない(厳密な計算) |
DECIMAL型は、10進数ベースで厳密な計算が可能なため、金額や取引数量、税率などの正確性が重視される場面での使用が推奨されます。
一方FLOATは、パフォーマンス重視の近似値処理が前提であり、両者は目的が明確に異なる型といえます。
適切な数値型の選び方
用途に応じた選択のガイドラインは次の通りです:
- ✅ FLOAT型:センサー値、測定データ、統計処理など、ある程度の誤差を許容できる場面。
- ✅ DOUBLE型:より高精度な計算が必要なとき(例:科学技術計算や分析処理)。
- ✅ DECIMAL型:誤差が許されない金融・請求関連の計算全般。
選択を誤ると、誤差が積み重なって重大な計算ミスに繋がる恐れがあります。精度が求められる処理では、「FLOATは基本的に使わない」くらいの慎重さが求められるケースも多いです。
7. FLOAT型の使用例とベストプラクティス
実際にFLOAT型が使われているケース
MySQLのFLOAT
型は、その特性上、「精密さよりもパフォーマンスが求められる」用途で広く使われています。以下は代表的な活用例です。
1. センサー値の記録(IoTやモニタリング)
温度、湿度、気圧などのセンサー値は、絶対的な精度よりも変化傾向の記録が重要視されるため、FLOAT型が適しています。
CREATE TABLE sensor_logs (
temperature FLOAT,
humidity FLOAT,
recorded_at DATETIME
);
このような用途では、数百万件を超えるレコードを高速に処理できるFLOAT型が実用的です。
2. ゲームや3Dアプリケーションの数値座標
ゲーム開発やグラフィック処理など、座標や回転角などを扱う場面でもFLOAT型が使われます。これらのデータは内部処理用であり、多少の誤差が許容されるからです。
3. 統計データや機械学習の中間結果
統計処理やAI学習の中間結果など、計算コストを下げたい場面ではFLOATを使うことがあります。後続処理で正規化・補正を行うことが前提になっているため、多少の誤差は問題になりません。
避けるべき使用ケース
一方で、FLOAT型を使うべきではないケースも明確に存在します。
- ❌ 金額・料金・税率などの正確な計算
- ❌ 精密な単価の掛け算や集計
- ❌ 請求書や領収書に記載される数値
たとえば、次のようなテーブル定義は非常に危険です:
-- 間違った使用例
CREATE TABLE invoices (
amount FLOAT
);
このような構造では、1円以下の誤差が生じ、請求金額と支払金額が一致しない事態を引き起こす可能性があります。これにはDECIMAL(10,2)
など、精度を担保する型を使うべきです。
FLOAT型を安全に使うためのベストプラクティス
- “誤差が問題にならない場面”だけに使う
- 物理的なセンサー情報やログなど、近似値で十分なデータに限定する。
- 等価比較(=)を避ける
value = 0.1
のような比較は避け、代わりに範囲比較を用いる。
WHERE value BETWEEN 0.0999 AND 0.1001
- 目的に応じて他の型との比較検討を怠らない
- 記録対象が「人間が扱う数値」か「機械的な変動記録」かで選択基準を明確にする。
- MySQLのバージョンや動作環境を確認する
- 一部の環境では丸め処理や数値比較に違いが出る場合もあるため、事前検証は必須。
8. よくある誤解とトラブルシューティング
誤解① 「FLOAT型でも正確に計算できる」
多くの開発者が抱く最も一般的な誤解が、「FLOAT型でも 0.1 + 0.2 = 0.3
は正しく動く」という思い込みです。
実際には、FLOAT型は内部的に2進数で近似的な値を扱っているため、厳密に一致しないことがあります。
SELECT 0.1 + 0.2 = 0.3; -- 結果はFALSEになることがある
原因:
- 0.1、0.2、0.3は、コンピュータ上では正確な2進数として表現できず、微妙な誤差が発生するため。
対策:
- FLOAT型での計算結果を比較する際は、誤差許容範囲を考慮した比較にする。
SELECT ABS((0.1 + 0.2) - 0.3) < 0.00001;
誤解② 「FLOAT(M,D) で指定すれば精度も保証される」
FLOAT(7,4)
のように桁数を明示的に指定すれば、その通りに保存されると思い込むケースも多く見られます。
実際には、FLOAT型はあくまで「近似値」扱いであり、MやDの指定があっても誤差は避けられません。これはDECIMAL型との大きな違いです。
対策:
- 精度が重視される場面では、DECIMAL型を使用する。
誤解③ 「比較演算(=, <, >)が普通に使える」
WHERE value = 0.1
のような条件文が意図通り動作しないという相談は非常に多いです。
原因:
- 浮動小数点数の誤差によって、比較演算がTRUEにならないことがある。
対策:
- 比較は範囲で行うか、あるいは
DECIMAL
で値を保持して正確に比較する。
誤解④ 「FLOAT型はDECIMALより高性能で万能」
確かにFLOAT型は高速かつ軽量ですが、それはあくまで精度を犠牲にして得られるパフォーマンスです。金額や数量、残高など、ズレが発生してはいけないデータには不向きです。
対策:
- システム要件(精度 vs 処理性能)を明確にし、FLOAT型とDECIMAL型を使い分ける。
よくあるトラブルと対策まとめ
トラブル内容 | 原因 | 推奨対処法 |
---|---|---|
計算結果が一致しない | 浮動小数点の誤差 | 誤差許容範囲での比較 |
条件に一致しない | = 比較による不一致 | BETWEEN や誤差比較を使う |
小数が丸められている | 精度の限界 | 精密な数値はDECIMALで処理 |
金額で誤差が出る | 浮動小数点処理 | 金融処理にはFLOATを使わない |
9. まとめ
FLOAT型とはどのような型か?
MySQLのFLOAT
型は、近似的な小数値を格納・処理するための浮動小数点型です。少ないストレージで広い範囲の値を扱えるというメリットがある一方、精度の制限や誤差のリスクがあるため、使用には明確な目的と理解が求められます。
本記事で解説した主なポイント
- FLOAT型の基礎:浮動小数点数を扱い、有効桁数は約7桁。
- 精度と誤差:小数点以下の値にわずかな誤差が生じる可能性があり、比較演算に注意。
- 構文と使い方:
FLOAT(M,D)
による桁数指定やUNSIGNED
、ZEROFILL
の使い方も可能。 - 他の数値型との比較:
DOUBLE
はより高精度。DECIMAL
は誤差のない厳密な数値計算に適する。- 適切な使用例:センサーデータや統計値など、誤差が許容される場面。
- 避けるべき場面:金額・請求・税金計算など、正確性が絶対条件の処理。
- よくある誤解と対処法:
= 0.1
のような比較が失敗する原因と、対処のための誤差を考慮した条件式の利用など。
FLOAT型を使うべきか迷ったら?
最後に、判断に迷ったときのシンプルな基準をお伝えします。
「少しの誤差が許容されるか?」
YES →FLOAT型
またはDOUBLE型
NO →DECIMAL型
この問いに対する答えが、そのまま最適な数値型選択に直結します。
正しい選択が信頼性を生む
データベース設計において、数値型の選択は軽視されがちですが、後々の不具合やバグの温床となりやすいポイントです。FLOAT型を正しく理解し、適切な場面で使いこなすことは、安定したシステム運用と信頼性のあるデータ処理につながります。
本記事が、あなたのMySQL設計・運用の一助になれば幸いです。
よくある質問(FAQ)
Q1. FLOAT型とDOUBLE型の違いは何ですか?
A.
FLOAT型は「単精度浮動小数点型」で、約7桁の有効桁数を扱うことができます。一方、DOUBLE型は「倍精度浮動小数点型」で、約15~16桁の精度を持ちます。
精度が重要な場面ではDOUBLE型を、ストレージや処理速度を優先するならFLOAT型を使うのが一般的です。
Q2. FLOAT(M,D)のMとDは何を意味していますか?
A.M
は全体の桁数(整数部 + 小数部)、D
は小数部の桁数を意味します。たとえば FLOAT(7,4)
と定義した場合、7桁のうち4桁が小数点以下に割り当てられます。
ただし、これは表示形式の目安にすぎず、精度保証ではないことに注意してください。
Q3. 金額などの正確な数値にFLOAT型を使っても大丈夫ですか?
A.
おすすめできません。FLOAT型は近似値であり、誤差が生じる可能性があるため、1円単位の正確な金額を扱うには不向きです。
こうしたケースではDECIMAL型を使用すべきです。
Q4. FLOAT型の値が比較演算(=)で一致しないのはなぜですか?
A.
FLOAT型は内部的に近似値として格納されており、たとえば 0.1
という数値も完全に正確な形で記録されていない場合があります。そのため、= 0.1
のような比較がFALSEになることがあります。
対策としては誤差を考慮した範囲比較を行うことが推奨されます。
Q5. FLOAT型を使っても丸め誤差が起きない方法はありますか?
A.
残念ながら、FLOAT型を使用する限り、丸め誤差を完全に避けることはできません。精度が重要な場合はFLOAT型の使用そのものを避け、DECIMAL型を使うのが最も確実な方法です。
Q6. FLOAT型はMySQLに用意されているのはなぜですか?
A.
FLOAT型は、少ないストレージで高速に数値を扱えるという大きな利点があります。誤差が許容されるようなケース(例:センサーデータ、統計的ログ、3D座標など)においては非常に有用です。適切な用途に限定して使うことで、システムの性能を向上させることができます。